この記事の要点
- 制作の流れは大きく「準備」「設計」「制作」「公開」「運用」の5段階、細かく分けると10ステップ。
- 遅れの原因の多くは、発注側の原稿と写真の用意と確認の戻し。最初に担当者と締め切りを決めておく。
- 期間の目安は、5ページ前後のテンプレート利用で1〜2か月、オリジナルデザインで3〜4か月以上。
- 公開日がゴールではない。公開後1か月の点検と、更新の担当を決めておくと成果が出やすい。
ホームページ制作の全体像は「5段階・10ステップ」
制作会社によって呼び方は違いますが、やっていることはほぼ共通です。まず全体を地図として頭に入れておくと、見積書や工程表を受け取ったときに「いまどこにいるのか」「次に何を求められるのか」がわかるようになります。
上の図のうち、1〜6が「何を作るかを決める」工程、7〜9が「実際に作る」工程、10が「世に出して育てる」工程です。費用の多くは7〜9にかかりますが、成果を左右するのは1〜6の質です。ここが曖昧なまま進むと、デザインができてから「やっぱりこのページも欲しい」「この写真では伝わらない」と手戻りが発生し、期間も費用も膨らみます。
ステップ1〜3:準備(目的決め・依頼先選び・要件定義)
ステップ1 目的とゴールを一文で決める
最初にやるべきことは、デザインの好みを集めることではなく、「誰に、何をしてほしいサイトか」を一文で書くことです。たとえば「市内で外壁塗装を検討している戸建ての持ち主に、無料見積もりを申し込んでもらう」「新卒・第二新卒の応募者に、職場の雰囲気を知ってエントリーしてもらう」のように、相手と行動まで書きます。
この一文があると、載せる内容の優先順位、トップページの見せ方、問い合わせフォームの項目まで、後の判断がすべてぶれにくくなります。社内で意見が割れたときの判断基準にもなります。あわせて、公開後に何を見て「成功」とするか(問い合わせ数、採用応募数、電話の件数など)も決めておきましょう。
ステップ2 依頼先を選び、同じ条件で見積もりを取る
依頼先は、制作会社・フリーランス・テンプレートを使った制作サービスなどに分かれます。比較するときは、同じ条件(ページ数、必要な機能、原稿は誰が書くか、公開後の保守)を書いたメモを各社に渡すことが大切です。条件がそろっていないと、金額の差が「作業範囲の差」なのか「単価の差」なのか判断できません。
見積もりでは、総額だけでなく次の点を確かめます。
- 原稿作成や写真撮影が含まれているか、別料金か
- 修正の回数や範囲に上限があるか
- ドメインやサーバーは誰の名義で契約するか
- 公開後の更新・保守は月額か、都度払いか
- 納品後に自社で更新できる仕組み(WordPressなど)か
費用の内訳の読み方はホームページ制作費の内訳で詳しく説明しています。
ステップ3 ヒアリングと要件定義
依頼先が決まると、ヒアリング(聞き取り)を経て「要件定義」をします。要件定義とは、作るものの範囲を文書で確定させる作業です。ページ数、ページ名、必要な機能(お問い合わせフォーム、お知らせ更新、採用エントリー、地図など)、対応する端末、公開予定日、予算、双方の担当者をここで決めます。
発注側にとって大事なのは、要件定義の内容をそのまま受け取らず、「載っていないもの」を確認することです。たとえば「お知らせ機能はあるが、ブログのカテゴリー分けは含まれない」「フォームはあるが、自動返信メールの文面作成は発注側」といった線引きは、後で揉めやすいところです。
ステップ4〜6:設計(サイト構成・ワイヤーフレーム・原稿)
ステップ4 サイト構成(サイトマップ)を作る
サイト構成とは、ホームページにどんなページがあり、どのページの下にどのページがぶら下がるかを整理した一覧です。中小企業のホームページなら、トップ・会社概要・事業(サービス)紹介・実績・お問い合わせの5ページ前後から始めることが多く、必要に応じて採用・よくある質問・お知らせを足します。
構成を考えるときは、ステップ1で決めた相手が「どの順に知りたいか」を基準にします。会社の沿革より先に、相手の悩みに答えるサービス紹介や料金、実績が見つけやすい位置にあるべきです。ページの数え方や優先順位は小さな会社の5ページ構成が参考になります。
ステップ5 ワイヤーフレームを作る
ワイヤーフレームは、ページの中に何をどの順番で置くかを、色や装飾を省いて線と文字だけで描いた設計図です。いきなりデザインを作ると、色や写真の印象に引きずられて「内容の順番」の議論ができません。ワイヤーフレームの段階で、見出し・本文の量・写真の位置・問い合わせボタンの位置を決めておくと、デザインの確認が「見た目の好み」に集中でき、修正が少なくなります。
ステップ6 原稿と写真を用意する
ここが発注側の最大の仕事であり、スケジュールが遅れる最大の原因です。会社概要の正式な情報、サービスの説明、料金、実績の写真と説明、代表挨拶、スタッフ紹介など、ホームページに載る文章と写真の多くは、事業者しか持っていない情報です。
原稿と写真の準備チェックリスト
- 会社名・所在地・電話番号・営業時間・代表者名など、登記や名刺と一致する正式な表記
- サービスごとの説明文(誰向けか・何をするか・料金や期間の目安・流れ)
- 実績や事例の写真と、掲載してよいかの確認(お客様の許可)
- 代表やスタッフの写真(使ってよい範囲を本人に確認)
- ロゴのデータ(できれば元データ。画像しかない場合はその旨を伝える)
- よくある質問の答え(電話やメールで実際によく聞かれること)
- プライバシーポリシーなど、法律にかかわるページの方針
原稿の作成を制作会社に任せることもできますが、その場合も材料となる情報(強み、お客様からよく言われること、対応地域、価格の考え方)は発注側にしかありません。担当者を1人決め、「いつまでに何を出すか」を工程表に書き込んでおきましょう。
ステップ7〜9:制作(デザイン・構築・テスト)
ステップ7 デザインを作る
デザインは、まずトップページを作り、方向性が固まってから下層ページに広げるのが一般的です。確認するときは「好きか嫌いか」ではなく、ステップ1の相手にとって見やすく、信頼できる印象かで判断します。社内の複数人に意見を聞く場合は、窓口を1人にまとめ、意見を整理してから戻すと、修正の往復が減ります。
テンプレート(テーマ)を使う制作では、この工程が「テーマ選びと色・写真の差し替え」に置き換わるため、期間と費用を大きく抑えられます。
ステップ8 コーディング・WordPress構築
デザインをブラウザーで表示できる形にする工程です。WordPressで作る場合は、テーマの設定、固定ページの作成、メニュー、問い合わせフォーム、お知らせの投稿機能などを組み立てます。発注側は待つ時間が長くなりますが、この間に公開後の更新担当者を決め、管理画面の使い方の説明を受ける日程を押さえておくとスムーズです。
ステップ9 テストと修正
公開前に、テスト用のURLで次の点を確認します。表示が崩れていないかだけでなく、実際に問い合わせが届くかまで確かめることが重要です。
| 確認項目 | 見るところ | 担当の目安 |
|---|---|---|
| 表示 | パソコン・スマートフォン・タブレットで崩れや文字の小ささがないか | 制作側と発注側 |
| 内容 | 社名・電話番号・住所・料金の誤字、古い情報が残っていないか | 発注側 |
| フォーム | 送信できるか、通知メールと自動返信が届くか、迷惑メールに入らないか | 両方 |
| リンク | ボタンやメニューの行き先、外部リンク、電話番号のタップ発信 | 制作側 |
| 速度 | スマートフォン回線で極端に遅いページがないか | 制作側 |
| 検索 | 公開前の非表示設定(noindex)を公開時に外す手順があるか | 制作側 |
ステップ10:公開と、公開後の運用
公開作業では、ドメインの向き先を新しいサーバーに切り替え、SSL(https)を有効にし、検索エンジンに表示される設定に変えます。リニューアルの場合は、旧サイトのURLから新しいURLへの転送(リダイレクト)も忘れずに行います。
公開日はゴールではなくスタートです。公開後1か月は、次のような点検をしておくと安心です。
- 問い合わせフォームから実際に連絡が来ているか、取りこぼしがないか
- Googleサーチコンソールで、ページが検索エンジンに登録されているか
- アクセス解析で、どのページがよく見られ、どこで離脱しているか
- お知らせや実績を、誰がどの頻度で更新するか
ホームページは、実績やよくある質問を少しずつ増やすほど、検索にも営業にも強くなります。更新の担当と頻度を、公開前に決めておくことをおすすめします。
期間の目安:テンプレート利用なら1〜2か月が多い
制作期間は、ページ数・デザインの作り方・原稿の準備状況で大きく変わります。下の図は、5ページ前後の会社ホームページをテンプレートを使って作る場合の一例です。
オリジナルデザインで作る場合は、デザインの提案と修正の往復が加わるため、3〜4か月以上かかるのが一般的です。採用ページやブログ、予約機能など機能が増えれば、その分だけ伸びます。
| 作り方 | 期間の目安 | 延びやすい理由 |
|---|---|---|
| テンプレート(テーマ)を使う | 1〜2か月 | 原稿と写真の用意が遅れる |
| 一部オリジナル(トップだけ独自など) | 2〜3か月 | デザインの修正の往復 |
| フルオリジナル | 3〜6か月 | 要件の追加、社内承認の待ち |
| 自社で作る(WordPressとテーマ) | 2週間〜2か月 | 作業時間が本業の合間しか取れない |
これらの期間は目安で、実際には依頼先の混み具合や、社内の確認体制によって前後します。公開日が決まっている場合(開業日、採用の解禁日など)は、そこから逆算して、遅くとも3か月前には相談を始めると余裕があります。
つまずきやすいポイントと対策
最後に、制作の流れの中でよく起きるつまずきと、その対策をまとめます。
- 決裁者には、要件定義とワイヤーフレームの段階で一度見てもらう
- 原稿は完璧でなくてよいので、早めに「8割の版」を出す
- 修正依頼は、1つの資料にまとめて番号を付けて渡す
- ドメインとサーバーの契約は、できるだけ自社名義にしておく(引き継ぎや乗り換えのため)
自分で作る場合は、流れのどこが変わるか
WordPressとテーマを使って自社で作る場合も、流れそのものは変わりません。違うのは、ステップ2の依頼先選びが「テーマ選び」に、ステップ7〜8のデザインと構築が「テーマの設定と、原稿の流し込み」に置き換わる点です。目的決め、構成、原稿、テスト、公開後の運用は、外注でも自作でも同じだけ必要です。
自作で多い失敗は、いきなり管理画面を触り始めて、構成と原稿がないまま見た目の調整に時間を使ってしまうことです。この記事のステップ1・4・5・6を紙やメモで済ませてから作り始めるだけで、作業時間は大きく短くなります。外注と自作の向き不向きは自分で作るか、外注するかで比べています。
CRAFTのテーマは、会社ホームページに必要なページ構成があらかじめ用意されているため、ステップ4〜5の設計とステップ7のデザインを短縮できます。基本プランはテーマ1種類10,000円(税込)で、初回セットアップを任せる場合は別途19,800円(税込)です。サーバーとドメインの費用は別にかかります。
よくある質問
ホームページ制作は最短でどれくらいで公開できますか?
ページ数が少なく、原稿と写真がそろっていて、テンプレートを使うなら、数週間で公開できることもあります。ただし確認やテストの時間を削ると公開後の修正が増えるため、最低でも1か月程度を見ておくと安心です。
制作会社に依頼する前に、何を準備しておけばよいですか?
「誰に何をしてほしいサイトか」の一文、載せたいページの候補、参考にしたいサイト、予算の上限、公開したい時期の5つがあれば、相談がスムーズです。原稿や写真は相談後でも構いませんが、早く集め始めるほど期間が短くなります。
途中で内容を変えたくなったらどうなりますか?
要件定義で決めた範囲を超える変更は、追加費用や期間延長の対象になるのが一般的です。変更が出そうな部分は、要件定義の段階で「未定」として伝えておき、扱い方を相談しておきましょう。
公開後の更新は自分でできますか?
WordPressで作られていれば、お知らせや実績の追加は管理画面から自分でできます。納品時に操作説明を受けられるか、どこまで自分で触ってよいかを、契約前に確認しておくとよいでしょう。
参照した資料
制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、公式の最新の案内を確認してください。
確認日 2026.11.07
