この記事の要点

  • 会社案内が中心で、内容をこまめに更新するホームページは、広告宣伝費として支出した年の経費にするのが一般的。
  • 予約、検索、ネットショップなどのプログラムを持つ部分は、ソフトウェア(無形固定資産)として扱う。自社で使うソフトウェアの耐用年数は5年。
  • 資産に計上するものでも、10万円未満は一度に経費、20万円未満は3年で均等に償却できる。中小企業者等は、令和8年4月1日以後の取得なら40万円未満まで一度に経費にできる特例がある(年300万円まで)。
  • ドメインやサーバーなど毎年かかる費用は、通信費や支払手数料など、会社で決めた科目で毎年経費にする。

まず押さえたい2つの考え方

ホームページの制作費の扱いは、「そのホームページは何のためのものか」と「どれくらいの期間、効果が続くか」で考えます。

広告宣伝としてのホームページ

会社の紹介、事業内容、所在地、お知らせなどを載せるホームページは、チラシやパンフレットと同じく、会社やサービスを知ってもらうための広告宣伝の性格を持ちます。内容は頻繁に更新され、制作した時点の内容がそのまま何年も使われるわけではないことから、支出した年の広告宣伝費として経費にする扱いが一般的です。

機能を持つホームページ

一方、ホームページの中に、予約を受け付けるシステム、商品を検索して購入できるネットショップ、会員がログインして使う機能などのプログラムが組み込まれている場合、その部分は単なる広告ではなく、事業に使う道具としての性格を持ちます。こうしたものはソフトウェアとして資産に計上し、耐用年数にわたって減価償却するのが基本です。

01内容を分ける会社案内の部分と、機能(プログラム)の部分02会社案内の部分広告宣伝費として、支出した年の経費にするのが一般的03機能の部分ソフトウェア(無形固定資産)として資産に計上04金額を確認する10万円未満・20万円未満・中小企業者等の特例の対象か05耐用年数で償却自社利用のソフトウェアは5年
図解制作費の扱いを考える順番の例。最終判断は契約内容と金額をもとに税理士に確認する。

ソフトウェアとして扱う場合の耐用年数と取得価額

国税庁のタックスアンサー「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」では、ソフトウェアは減価償却資産(無形固定資産)に当たり、耐用年数は次のとおりとされています。

ソフトウェアの耐用年数(国税庁タックスアンサー No.5461 より)
区分耐用年数
複写して販売するための原本、または研究開発用のもの3年
その他のもの(自社で使うソフトウェアなど)5年

ホームページに組み込んだ予約システムや会員機能などを自社で使う場合は、通常「その他のもの」に当たり、5年で償却することになります。

また、同じタックスアンサーでは、購入したソフトウェアの取得価額には、導入に当たって必要な設定作業や、自社の仕様に合わせるための付随的な修正作業の費用も含めるとされています。ホームページの機能部分を外注した場合、プログラムの代金だけでなく、その設定や調整の費用も取得価額に入る可能性があることに注意してください。

少額の場合の3つの扱い

資産に計上すべきものでも、金額が小さい場合は、次の方法で早く経費にできます。

少額の減価償却資産の扱い(国税庁タックスアンサー No.5403・No.5408 より)
取得価額扱い主な条件
10万円未満事業に使い始めた年に全額を経費にできる使い始めた事業年度に損金経理すること
20万円未満一括償却資産として3年間で均等に償却できる事業年度ごとに選択できる
40万円未満(中小企業者等の特例)事業に使い始めた年に全額を経費にできる青色申告の中小企業者等。年間合計300万円まで。令和8年4月1日以後の取得から(それより前は30万円未満)
一度に経費(原則)10万円未満3年で均等に償却20万円未満一度に経費(中小企業者等の特例)40万円未満・年300万円まで
図解取得価額の区切りと、経費にできる時期の目安(国税庁タックスアンサーをもとに作成)。棒の長さは区切りの金額(万円)。

中小企業者等の特例は、国税庁のタックスアンサー「No.5408」で、平成18年4月1日から令和11年3月31日までに取得して事業に使い始めたものが対象とされています。令和8年度の改正で、令和8年4月1日以後に取得したものは対象が40万円未満(改正前は30万円未満)に引き上げられ、常時使用する従業員の数の基準は400人以下(改正前は500人以下)に引き下げられました。対象になる法人の範囲などの細かな要件があるため、適用できるかどうかは必ず確認してください。

制作費の内訳ごとの考え方

実際の請求書には、いろいろな項目がまとめて書かれていることがあります。内訳ごとに扱いを考えると整理しやすくなります。

制作費の内訳と、よく使われる勘定科目の例
内訳よく使われる勘定科目の例考え方
デザイン・ページ制作(会社案内の部分)広告宣伝費内容の更新を前提とした広告の性格
原稿作成・撮影広告宣伝費ページ制作と同じく広告のための費用
予約・会員・ネットショップなどの機能開発ソフトウェアプログラムとして資産に計上し償却
機能の設定・自社向けの調整ソフトウェア(取得価額に含める)導入に必要な作業として取得価額に含める
公開後の更新作業・保守支払手数料、外注費など毎月・毎年の費用として処理

請求書の内訳が「ホームページ制作一式」のようにまとめて書かれていると、どこまでが広告で、どこからがソフトウェアなのかが判断しにくくなります。見積もりの段階で、機能の部分を分けて書いてもらうよう依頼しておくと、経理の処理がしやすくなります。見積書の見方はホームページ制作の見積書の見方で説明しています。

ドメイン・サーバー・テーマ代の扱い

制作費以外にも、ホームページには毎年かかる費用や、最初に一度だけ払う費用があります。

ドメインとレンタルサーバー

ドメインの登録料・更新料や、レンタルサーバーの利用料は、ホームページを持ち続けるための費用として、支払った年の経費にするのが一般的です。勘定科目は「通信費」や「支払手数料」などがよく使われますが、決まった科目があるわけではないので、会社の中で科目を決めて毎年同じ科目を使うことが大切です。

複数年分をまとめて前払いした場合は、原則として、その年に対応する分だけを経費にし、翌年以降の分は前払費用として扱います。ただし、一定の条件を満たす短期の前払費用は、支払った年の経費にできる取り扱いもあります。数年分を一括で払ったときは、どちらで処理するか確認しておきましょう。

WordPressのテーマや有料プラグイン

WordPressのテーマ(デザインのひな形)や有料プラグインの購入費用は、ソフトウェアとしての性格を持ちます。金額が10万円未満であれば、使い始めた年の経費として処理できます。毎年の更新が必要なライセンスは、その年の費用として処理するのが一般的です。CRAFTのテーマは1種類10,000円(税込)の買い切りです。

個人事業主の場合

個人事業主の場合も、考え方の基本は同じです。会社案内が中心のホームページは広告宣伝費として、機能を持つ部分はソフトウェアとして扱います。ただし、法人税ではなく所得税の扱いになるため、少額の減価償却資産の特例などは、所得税の規定で要件を確認する必要があります。青色申告をしているかどうかで使える特例が変わるため、確定申告の前に国税庁のタックスアンサーや税務署で確認してください。

仕訳の具体例

考え方を、架空の例で確認してみましょう。金額はすべて説明のための仮の値です。

例:会社案内のホームページと予約機能をまとめて依頼した場合

ある会社が、制作会社に次の内容をまとめて依頼したとします。

・会社案内の5ページ(デザイン、原稿の整え、写真の加工):25万円

・来店予約の機能(予約カレンダーの開発と設定):30万円

会社案内の5ページ分は、広告宣伝費として支出した年の経費にするのが一般的です。予約の機能は、自社で使うソフトウェアとして資産に計上し、5年で償却するのが基本です。ただし、その会社が青色申告の中小企業者等で、令和8年4月1日以後に取得したのであれば、30万円は40万円未満なので、特例を使って一度に経費にできる可能性があります。

このように、同じ請求書の中でも、内訳によって扱いが分かれます。内訳が分かれていないと判断ができないため、見積もりの段階から分けてもらうことが大切です。

経理で困らないための3つのポイント

制作を依頼する前に確認しておきたいこと

  • 見積書・請求書で、ページ制作と機能開発の金額を分けて書いてもらう
  • 保守や更新の費用が、制作費とは別の請求になっているか確認する
  • ドメインやサーバーを何年分まとめて払うかを決め、経理担当者に伝えておく

また、ホームページ制作に補助金を使う場合は、補助金で受け取った金額の会計処理も必要になります。補助金についてはホームページ制作に使える補助金で説明しています。費用全体の見通しはホームページ制作の費用相場とホームページの保守費用を参照してください。

よくある質問

ホームページ制作費は、一括で経費にできますか?

会社案内が中心で内容を更新していくホームページは、広告宣伝費として支出した年の経費にするのが一般的です。ただし、予約やネットショップなどの機能を持つ部分はソフトウェアとして資産に計上するのが基本です。最終的な扱いは税理士に確認してください。

ホームページの耐用年数は何年ですか?

ホームページそのものに決まった耐用年数があるわけではありません。機能を持つ部分をソフトウェアとして扱う場合、自社で使うソフトウェアの耐用年数は5年です(国税庁タックスアンサー No.5461)。

30万円のホームページ制作費は、全額を経費にできますか?

内容によります。会社案内が中心であれば広告宣伝費として扱うのが一般的です。ソフトウェアとして資産に計上する場合でも、中小企業者等の特例の要件を満たせば、令和8年4月1日以後の取得なら40万円未満まで一度に経費にできます(年間合計300万円まで)。

リニューアルの費用はどう扱いますか?

新しく作り直す場合は、新規の制作と同じ考え方で扱います。古いホームページに機能を持つ資産が残っている場合は、その残りの扱いも含めて税理士に相談してください。

参照した資料

制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、公式の最新の案内を確認してください。

確認日 2026.11.07