この記事の要点

  • 見積もりは、作業の範囲を確かめる資料。金額だけでなく、何が含まれ、何が含まれないかを見る。
  • よく出てくる項目は、ディレクション、デザイン、コーディング(組み込み)、CMSの導入、原稿、撮影、公開の設定、保守など。
  • 「一式」とだけ書かれた見積もりは、中身を書き出してもらう。修正の回数、原稿と写真の担当、公開後の費用は必ず確かめる。
  • 比べるときは、同じ条件で見積もりを頼む。条件がばらばらだと、金額の差の理由がわからない。

見積もりを頼む前に準備すること

見積もりの金額は、頼む内容によって大きく変わります。依頼先ごとに伝える内容がばらばらだと、出てくる見積もりも比べられません。見積もりを頼む前に、次のことをまとめておきましょう。

目的問い合わせ、採用、信頼など、何のために作るかページの数と種類トップ、サービス、会社概要、問い合わせなど原稿と写真自社で用意するか、作ってもらうか必要な機能フォーム、ブログ、予約、多言語など公開後の更新自社でするか、頼むか予算と時期上限の金額と、公開したい時期
図解見積もりを頼む前にまとめておくこと。同じ内容を各社に伝えると、見積もりを比べやすくなる。

まとめた内容は、A4で1〜2枚の資料にして、各社に同じものを渡すのがおすすめです。これを「提案依頼書(RFP)」と呼ぶこともありますが、小さな会社なら、箇条書きのメモで十分です。参考にしたいホームページや、逆に避けたい雰囲気のホームページがあれば、アドレスを添えておくと、話が早く進みます。

見積もりによく出てくる項目

見積もりの書き方は依頼先によって違いますが、次のような項目が並ぶことが多いです。

見積もりによく出てくる項目と意味
項目意味確かめたいこと
ディレクション費進行の管理、打ち合わせ、全体のとりまとめ打ち合わせの回数、窓口の担当者
企画、構成目的の整理、ページの構成、サイトマップ構成案を出してもらえるか
デザイン見た目を作る作業。トップと下の階層で分かれることが多い何案出るか、修正は何回か
コーディングデザインをホームページとして動く形にするスマホの表示が含まれるか
CMSの導入WordPressなど、更新できる仕組みを入れる自社で更新できるか
原稿の作成文章を書く、取材する何ページ分か、取材の有無
撮影写真を撮る日数、カット数、場所
フォームの設置問い合わせのフォームを作る項目の数、自動返信の有無
SEOの初期設定タイトル、説明文、サイトマップなど何が含まれるか
公開の設定サーバー、ドメイン、SSLの設定名義は誰になるか
保守、運用公開後の更新、バックアップ、修正月額の内容と、解約の条件

ディレクション費とは

見積もりの中で、わかりにくいと言われることが多いのが「ディレクション費」です。これは、制作の進行を管理し、打ち合わせを行い、デザイナーやエンジニアなどの作業をとりまとめる人の費用です。作業の合計に対して一定の割合で計算されることもあります。

ディレクション費が高いのは、必ずしも悪いことではありません。目的の整理や構成の提案に力を入れてくれる依頼先ほど、この費用は大きくなります。反対に、ディレクション費がない見積もりでは、進行の管理を自社で担う必要があることもあります。どんな作業が含まれているのかを聞いてみましょう。

デザインとコーディング

デザインは、トップページと、それ以外のページ(下の階層)で分けて見積もられることが多いです。トップページは作り込む部分が多く、費用も大きくなります。下の階層は、同じ形のページを使い回せる場合、1ページあたりの費用は小さくなります。

コーディングは、デザインをホームページとして動く形にする作業です。今はスマホで見る人が多いため、スマホに合わせた表示(レスポンシブ)が含まれているかを必ず確かめましょう。レスポンシブの考え方はレスポンシブデザインとはで説明しています。

原稿と撮影

見積もりで見落としやすいのが、原稿と写真です。見積もりに原稿の作成や撮影が含まれていない場合、文章と写真は自社で用意することになります。逆に、取材して原稿を書いてもらう、カメラマンに撮影してもらう場合は、その分の費用がかかります。

自社で用意する場合も、いつまでに、どんな形で渡せばよいのかを確かめておきましょう。原稿が遅れると、公開の時期も遅れます。

金額が大きく違う理由

同じような内容を頼んだのに、見積もりの金額が大きく違うことがあります。その理由の多くは、作業の範囲と、かける手間の違いです。

デザインの作り込み一から作るか、ひな形を使うか企画と提案目的の整理にどれだけ時間をかけるか原稿と撮影自社で用意するか、作ってもらうか特別な機能予約、会員、検索などの仕組み修正の回数何回まで費用に含むか公開後の保守月額に何が含まれるか
図解見積もりの金額に差が出やすい項目の目安(大きいほど差が出やすい。数値は考え方を示すための仮の値)

ほかにも、依頼先の規模(関わる人の数)、デザインを一から作るか、テンプレートを使うか、といった点で金額は変わります。安い見積もりは、作業の範囲が狭いか、ひな形を使っていることが多く、高い見積もりは、企画や原稿、撮影まで含んでいることが多いです。金額だけでなく、何が含まれているかを並べて比べることが大切です。

「一式」の見積もりで確かめること

見積もりに「ホームページ制作一式」とだけ書かれている場合は、中身を書き出してもらいましょう。一式の見積もりが悪いわけではありませんが、何が含まれているかがわからないと、後から「それは含まれていません」と追加の費用を求められることがあります。

一式の見積もりに対する聞き方の例

「お見積もりの『制作一式』に含まれる作業を、項目ごとに教えていただけますか。特に、作るページの数、デザインの修正の回数、スマホの表示、問い合わせのフォーム、公開の設定が含まれているかを確認したいです。また、含まれていない作業で、追加になる可能性があるものがあれば教えてください。」

追加の費用が出やすい場面

契約した後に追加の費用が出やすいのは、次のような場面です。見積もりの段階で、それぞれの扱いを確かめておきましょう。

01ページが増える途中で載せたい内容が増えた02修正が多い決められた回数を超えた03方向性が変わるデザインを作り直す04原稿が遅れる公開の日程を組み直す05機能を足す予約やブログなどを後から追加
図解追加の費用が出やすい場面。制作の途中で起きやすいので、契約の前に扱いを決めておく。

特に、デザインの修正は、「何回まで」「どの段階まで」が費用に含まれるかを確かめておきましょう。デザインが決まった後に大きく変えると、作り直しになり、追加の費用がかかることがあります。修正は社内で意見をまとめてから、一度に伝えるようにすると、回数を減らせます。

契約の前に確かめる10のポイント

契約の前に確かめること

  • 作るページの数と、それぞれのページの内容
  • デザインの案の数と、修正の回数
  • スマホの表示(レスポンシブ)が含まれるか
  • 原稿と写真は、誰が用意するか
  • 自社で更新できる仕組み(WordPressなど)になるか
  • ドメインとサーバーは、誰の名義で契約するか
  • 公開後の保守の費用と、含まれる作業、解約の条件
  • 完成したデータやデザインの権利は、誰のものになるか
  • 支払いの時期(着手時、公開時など)と方法
  • 金額が税込か税抜か

ドメインとサーバーの名義

ドメインとサーバーを依頼先がまとめて契約してくれる場合、名義が依頼先になっていることがあります。依頼先との契約をやめたり、別の会社に移ったりするときに、ドメインを引き継げないと、ホームページのアドレスが変わってしまいます。できるだけ自社の名義で契約し、管理画面のログイン情報も自社で持っておきましょう。

保守の費用

公開後の保守を月額で頼む場合は、何が含まれているかを具体的に確かめます。「保守」と言っても、サーバーの費用だけの場合もあれば、WordPressの更新、バックアップ、文章の修正まで含む場合もあります。また、解約するときに、ホームページのデータを受け取れるか、最低の契約期間があるかも確かめておきましょう。維持費の内訳はホームページの維持費で説明しています。

データと権利

完成したホームページのデザインや、書いてもらった原稿、撮影した写真の権利が誰のものになるかは、契約によって違います。自社で自由に使い続けたい、別の会社に更新を頼むかもしれない、という場合は、データの受け渡しと、権利の扱いを契約書に書いておいてもらいましょう。

見積もりを比べるときの注意点

複数の見積もりを比べるときは、項目をそろえた表を作ると、違いが見えやすくなります。

見積もりを比べる表の例(金額は書き込み用。数字はすべて仮の値)
項目A社B社C社
ページ数8ページ10ページ8ページ
デザインの修正2回まで3回まで記載なし
原稿の作成含まない含む含まない
撮影含まない半日含まない
スマホの表示含む含む含む
公開後の保守(月額)任意必須任意

表にすると、「C社は修正の回数が書かれていないので確かめる」「B社は原稿と撮影が含まれているので高いのは当然」といったことがわかります。金額の安さだけで選ばず、自社が任せたい作業が含まれているかで判断しましょう。

また、見積もりを出してもらうまでの対応も、依頼先を選ぶ材料になります。こちらの質問への返事が早く、わかりやすいか。目的を聞いたうえで、必要なものと不要なものを提案してくれるか。こうした点は、制作が始まってからのやり取りのしやすさにもつながります。

費用を抑えたい場合の考え方

見積もりが予算を超えてしまった場合は、依頼先に「予算が○円なので、その範囲でできる内容を提案してほしい」と相談してみましょう。ページの数を減らす、原稿を自社で書く、撮影を最小限にする、デザインをひな形をもとに作る、といった方法で、金額を調整できることがあります。

デザインを一から作る必要がない場合は、WordPressのテーマを使う方法もあります。CRAFTでは、テーマを10,000円(税込)の買い切りで販売しており、サーバーやドメイン、テーマの初期設定を任せたい場合は、初回セットアップ(19,800円、税込)も用意しています。依頼先の比べ方はホームページ制作の依頼先の比較で説明しています。

よくある質問

見積もりは何社から取ればよいですか?

2〜3社から取るのが一般的です。多すぎると、比べたり、それぞれの担当者とやり取りしたりするだけで時間がかかってしまいます。同じ条件を伝えて、内容を比べられるようにしましょう。

見積もりを取るのに費用はかかりますか?

多くの依頼先では、見積もりは無料です。ただし、詳しい構成案やデザインの案まで出してもらう場合は、費用がかかることもあります。事前に確かめておきましょう。

安い見積もりを選ぶと、品質が悪くなりますか?

安いことが、そのまま品質が悪いことを意味するわけではありません。ひな形を使う、作業の範囲を絞るなどの理由で安くなっていることも多くあります。大切なのは、自社が必要とする作業が含まれているかどうかです。

見積もりの後に、値段の交渉をしてもよいですか?

金額だけを下げてもらうより、作業の範囲を調整して金額を合わせてもらう方が、お互いに無理がありません。予算を正直に伝え、その範囲で何ができるかを相談しましょう。

請求書で気をつけることはありますか?

金額が見積もりと合っているか、税込か税抜かを確かめます。また、インボイス制度の下で仕入税額控除を受ける場合は、依頼先が適格請求書発行事業者かどうかも確かめておきましょう。

参照した資料

制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、公式の最新の案内を確認してください。

確認日 2026.11.07