この記事の要点
- フリーランスは、作る人と直接やり取りできる、費用を抑えやすいのが強み。一方で、対応できる範囲や進め方は人によって大きく違う。
- 探すときは、自社の業種や規模に近い実績があるか、公開後も続けて見てもらえるかを確かめる。
- 2024年11月に施行されたフリーランス法により、発注する側は業務の内容や報酬、支払期日などを書面やメールで明示することが求められている。
- ドメイン、サーバー、WordPressの管理者の権限は自社で持つ。連絡が取れなくなっても、ホームページを引き継げるようにしておく。
フリーランスと制作会社の違い
フリーランスは、個人で仕事を請け負っている制作者です。デザインが得意な人、WordPressの組み込みが得意な人、文章も書ける人など、得意な分野は人によって違います。制作会社との主な違いは、次のとおりです。
フリーランスに頼むと、打ち合わせの相手と実際に作る人が同じなので、伝えたことがそのまま形になりやすく、話が早く進みます。小さな修正にもすぐ対応してもらえることが多いでしょう。一方で、一人で活動しているため、病気や繁忙期には返事が遅れることがあり、得意でない作業(写真の撮影、文章の作成、システムの開発など)は、別の人に頼むか、自社で用意する必要があります。
依頼先の比べ方はホームページ制作の依頼先の比較でも説明しています。
フリーランスの探し方
フリーランスを探す方法は、いくつかあります。
- 知り合いからの紹介:実際に頼んだ人の感想を聞けるので、安心感があります。
- 気になるホームページの制作者に問い合わせる:同じ業種や地域の会社のホームページで、良いと思ったものがあれば、誰が作ったのかを聞いてみましょう。
- 仕事の仲介サイトで探す:多くの制作者の実績や評価を見比べられます。仲介サイトを通して契約すると、支払いのしくみが整っていることもあります。
- 制作者のホームページやSNSから探す:作品や考え方を発信している人なら、相性を確かめやすくなります。
相談のときに見ておきたいこと
最初の相談では、制作者がこちらの話をどう聞いてくれるかも見ておきましょう。デザインの好みより先に、ホームページの目的や、お客様がどんな人かを聞いてくれる制作者は、会社に合ったホームページを考えてくれる可能性が高いです。また、こちらの質問に対して、できることとできないことをはっきり答えてくれるかも大切です。「何でもできます」と答える人より、「撮影は得意ではないので、写真はご用意いただくか、カメラマンを紹介します」のように、得意な範囲を正直に伝えてくれる人の方が、後のすれ違いが少なくなります。
実績の見方
候補が見つかったら、過去の実績を見せてもらいます。見た目のきれいさだけでなく、次の点を確かめましょう。
実績を見るときに確かめること
- 自社と近い業種や規模のホームページを作ったことがあるか
- スマホで見たときにも、見やすく作られているか
- お客様が自分で更新できる仕組み(WordPressなど)で作っているか
- デザインだけでなく、組み込みや公開の設定まで自分で対応しているか
- 公開後も、更新や修正を続けて担当しているか
- 実績のホームページが、今もきちんと表示され、更新されているか
実績として紹介されているホームページが、今も表示され、お知らせなどが更新されているなら、公開後もお客様と良い関係が続いている可能性があります。実績のお客様に話を聞けるなら、「やり取りはしやすかったか」「公開後の対応はどうか」を聞いてみると参考になります。
最初に伝えること
フリーランスに相談するときは、最初に次のことを伝えると、見積もりや提案が具体的になります。
特に、原稿と写真を誰が用意するかと、公開後の更新を誰がするかは、最初にはっきりさせておきましょう。フリーランスの多くは、文章や写真はお客様が用意する前提で見積もりを出します。「文章も考えてくれると思っていた」というすれ違いは、よくあるトラブルの一つです。
契約で確かめること
フリーランス法で求められていること
2024年11月1日に、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(いわゆるフリーランス法)が施行されました。この法律では、事業者がフリーランスに業務を委託するとき、業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引の条件を、書面やメールなどで明示することが求められています。
また、従業員を使用している事業者がフリーランスに委託する場合は、原則として、成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ早い日に支払期日を定めて報酬を支払うことなども求められています。ホームページの制作をフリーランスに頼む会社も対象になりうるため、発注するときは、条件をメールや書面で伝え、記録を残しておきましょう。詳しい内容は、公正取引委員会や厚生労働省の案内で確認してください。
条件を伝えるメールの例
「このたびは、ホームページの制作をお引き受けいただきありがとうございます。業務の内容を以下のとおりお伝えします。業務の内容:会社のホームページ(トップ、サービス、会社概要、お問い合わせの4ページ)のデザインと、WordPressでの組み込み、公開の設定。報酬:○○円(税込)。納品の期日:○月○日。支払期日:納品を確認した月の翌月末日。お支払い方法:銀行振込。」
そのほか、契約で決めておくこと
| 決めること | 理由 |
|---|---|
| 作業の範囲 | 含まれない作業で追加の費用が出るのを防ぐ |
| 修正の回数 | 修正のたびに追加の費用になるのを防ぐ |
| 納品の形 | 何を受け取れば完成か(公開、データの受け渡しなど) |
| 支払いの時期 | 着手時に一部を払うか、完成後にまとめて払うか |
| 権利の扱い | デザインや画像を、自社で自由に使い続けられるか |
| 公開後の対応 | 修正や更新を頼むときの費用と、返事の目安 |
自社で持っておくべきもの
フリーランスに頼むときに最も大切なのが、ホームページの「鍵」を自社で持っておくことです。
一人で活動しているフリーランスは、病気や仕事の都合で、連絡が取れなくなることもあります。ドメインやサーバーが制作者の名義になっていると、そうしたときにホームページを引き継げなくなるおそれがあります。ドメインとサーバーは自社の名義で契約し、WordPressにも自社の管理者のアカウントを作ってもらいましょう。ログイン情報は、社内の決まった場所に保管しておきます。サーバーの考え方はサーバーの基本で説明しています。
費用の払い方
フリーランスへの支払いは、作業を始めるときに一部を払い、公開したときに残りを払う形や、公開した後にまとめて払う形などがあります。どちらの場合も、いつ、いくらを、どの方法で払うのかを、最初に決めておきます。
着手のときに一部を払う形は、制作者にとっては安心材料になり、発注する側にとっては、支払った分だけ作業が進んでいるかを確かめながら進められる、という利点があります。反対に、公開までに何か月もかかる仕事で、最後にまとめて払う約束にすると、制作者の負担が大きくなります。お互いに無理のない形を相談しましょう。
また、公開した後に、表示の崩れや、フォームが届かないといった不具合が見つかることもあります。公開からどれくらいの期間であれば、不具合を無料で直してもらえるのかも、あわせて確かめておくと安心です。
進めるときのコツ
フリーランスとの仕事を気持ちよく進めるために、次のことを心がけましょう。
- 連絡の窓口を一人に決める。 社内の何人もが別々に連絡すると、指示がぶつかって混乱します。
- 修正はまとめて伝える。 気づいたことを、その都度少しずつ送るより、社内で意見をまとめてから一度に伝える方が、作業が早く進みます。
- 原稿と写真は期限を守って渡す。 素材が遅れると、制作者の予定もずれ、公開が大きく遅れることがあります。
- 確認には期限を決める。 デザインの確認を何週間も止めてしまうと、制作者はほかの仕事の予定を立てられません。
期間の考え方はホームページ制作にかかる期間、見積もりの見方はホームページ制作の見積もりの見方で説明しています。
公開後の付き合い方
公開後、お知らせの更新や写真の差し替えを自社で行うのか、制作者に頼むのかを決めておきましょう。自社で行う場合は、更新の方法を教えてもらう時間を、契約の中に入れておくと安心です。制作者に頼む場合は、1回あたりの費用、月額の保守の内容、返事の目安を確かめておきます。
自社で更新できる仕組みで作っておけば、制作者が忙しいときでも、急ぎのお知らせを自分たちで出せます。また、将来、別の人に頼むことになっても、WordPressのような一般的な仕組みなら、引き継ぎやすくなります。
よくある質問
フリーランスに頼むと、制作会社より安くなりますか?
一般的には、制作会社より費用を抑えやすい傾向があります。ただし、経験の豊富な人や、得意な分野で評判の高い人の場合、制作会社と変わらない費用になることもあります。金額だけでなく、作業の範囲と実績を見て判断しましょう。
契約書は必要ですか?
小さな仕事でも、作業の範囲、報酬、支払期日、権利の扱いなどを、書面やメールで残しておくことをおすすめします。フリーランス法でも、発注する側に取引の条件を明示することが求められています。
途中で連絡が取れなくなったらどうすればよいですか?
ドメインとサーバーが自社の名義で、WordPressの管理者の権限を自社で持っていれば、別の制作者に引き継いでもらうことができます。そのためにも、作り始める前に名義と権限を確かめておきましょう。
仲介サイトを使う方が安心ですか?
仲介サイトによっては、支払いを一時的に預かるしくみや、評価のしくみがあり、初めての相手でも頼みやすくなります。一方で、手数料がかかることもあります。直接頼む場合も、仲介サイトを使う場合も、作業の範囲と条件をはっきりさせることが大切です。
参照した資料
制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、公式の最新の案内を確認してください。
- 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」
- 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 パンフレット」
- 厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」
確認日 2026.11.07
