この記事の要点

  • 代表あいさつは、会社の考え方と代表者の人柄を伝えるページ。取引の判断や応募の判断の材料として読まれる。
  • 基本の構成は、あいさつ → 事業の紹介 → 大切にしていること → きっかけや経験 → これからの約束 → 結び。
  • 定型文ではなく、具体的なエピソードを一つ入れると、その会社ならではの文章になる。
  • 文字数は600〜1,200字程度が目安。代表者の写真と署名を添える。

代表あいさつは誰が読むのか

代表あいさつを読むのは、主に次のような人たちです。

代表あいさつを読む人と、知りたいこと
読む人知りたいこと
取引を考えている会社信頼できる会社か、長く付き合えるか
新しいお客様どんな姿勢で仕事をしてくれるのか
応募を考えている人どんな考えの会社で、どんな人が率いているか
金融機関・支援機関事業の方向性と経営者の考え
既存の取引先会社の今後の方針

どの人にも共通しているのは、事業内容のページだけではわからない、会社の考え方と、代表者の人柄を知りたいということです。特に小さな会社では、代表者の考え方がそのまま会社の仕事のやり方に表れるため、代表あいさつはよく読まれます。

基本の構成

代表あいさつは、次の構成で書くとまとまりやすくなります。

01あいさつ見に来てくれたことへのお礼02事業の紹介何をしている会社か、ひとことで03大切にしていること仕事で重視している考え方04きっかけ・経験創業の理由や印象に残る出来事05これからの約束お客様や社会に対してしたいこと06結び署名と写真
図解代表あいさつの基本の構成。最初に何の会社かを伝え、考え方と経験で人柄を見せ、これからの約束で締める。

すべてを入れる必要はありません。特に大切なのは、「大切にしていること」と、それを裏付ける「きっかけ・経験」です。この2つが、ほかの会社の代表あいさつとの違いになります。

書き方の5つの手順

手順1:読む人を決める

まず、主に誰に読んでほしいかを決めます。取引先向けなら信頼と実績を、応募者向けなら働く環境や仲間への思いを、一般のお客様向けなら親しみやすさを重視します。すべての人に向けて書こうとすると、内容がぼやけてしまいます。

手順2:伝えたいことを1つに絞る

代表者が伝えたいことはたくさんあるはずですが、読む人の記憶に残るのは1つか2つです。「この会社は○○を大切にしている」と一言で言えるテーマを1つ決めましょう。

伝えたいことの例

・「お客様の現場に必ず足を運ぶ」

・「納期を守ることを何より大切にする」

・「地域の暮らしを長く支える」

・「難しい加工ほど引き受ける」

・「相談しやすい会社であり続ける」

手順3:エピソードを1つ選ぶ

伝えたいことを裏付ける、具体的な出来事を1つ選びます。創業のきっかけ、仕事で印象に残っている出来事、失敗から学んだこと、お客様からかけられた言葉などです。

「お客様第一」「誠実な仕事」といった言葉は、どの会社の代表あいさつにも書かれているため、それだけでは印象に残りません。具体的な出来事があると、同じ言葉でも、その会社ならではの重みが出ます。

手順4:構成に沿って書く

上の構成に沿って、まず思いつくまま書いてみます。最初は長くなっても構いません。書き終えたら、読む人に関係の薄い部分を削り、文字数を整えます。

手順5:声に出して読み直す

書いた文章を声に出して読んでみると、言い回しの不自然さや、長すぎる文に気づきます。代表者本人の話し方に近い言葉になっているかも確かめましょう。担当者が代わりに書いた場合は、必ず代表者本人に読んでもらい、自分の言葉として違和感がないかを確認します。

例文

業種の違う架空の会社を例に、例文を紹介します。そのまま使うのではなく、構成と書き方の参考にしてください。

例文1:製造業(架空の会社)

当社のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

私たちは、金属部品の精密加工を手がけています。創業以来、大切にしているのは「難しい加工ほど引き受ける」ことです。

創業間もない頃、他社に断られたという部品の相談を受けました。何度も試作を重ね、ようやく納めたとき、お客様から「次もお願いしたい」と言っていただいたことが、今の私たちの原点です。

これからも、図面の一行一行に向き合い、お客様の「困った」に応え続けます。

代表取締役 山田太郎

例文2:地域のサービス業(架空の会社)

いつも当社をご利用いただき、ありがとうございます。

私たちは、この町で住まいの修理とリフォームを請け負っています。仕事で一番大切にしているのは、「小さな相談でも、必ずお伺いする」ことです。

蛇口一つの交換でも、お伺いすると、ほかに気になっていたことを話してくださる方がたくさんいます。そうした声に応えるうちに、気づけば三十年、町の皆さまに支えられてきました。

これからも、困ったときに一番に思い出していただける会社でありたいと考えています。

代表 鈴木花子

例文はどちらも400字前後です。これに、会社の歴史や今後の取り組みを加えると、600〜1,200字程度の代表あいさつになります。

例文3:採用を意識した会社(架空の会社)

私たちのホームページを見つけてくださり、ありがとうございます。

私たちは、地域の中小企業の経理や事務の仕事を引き受けています。社員に一番伝えているのは、「わからないことを、わからないと言える職場にしよう」ということです。

私自身、若い頃に質問できずに一人で抱え込み、大きな失敗をしたことがあります。そのとき先輩が「次は一緒に考えよう」と声をかけてくれたことを、今もよく覚えています。

新しく仲間になる方にも、安心して質問し、少しずつできることを増やしていってほしいと考えています。

代表取締役 佐藤一郎

例文3のように、応募を考えている人に向けた代表あいさつでは、仕事の内容よりも「どんな職場か」「どんな人と働くのか」が伝わることを優先します。採用ページから代表あいさつへリンクを張っておくと、応募を迷っている人の後押しになります。

代表者に話を聞いてまとめる方法

代表者が忙しくて自分で書く時間がない場合は、担当者が話を聞いて文章にまとめる方法が現実的です。30分ほど時間をもらい、次のような質問をしてみましょう。答えをそのまま書き起こすだけでも、代表者らしい言葉が集まります。

きっかけなぜこの仕事を始めたのか、なぜ会社を作ったのかこだわり仕事で絶対に譲れないことは何か転機一番苦しかった時期と、どう乗り越えたかうれしかったことお客様に言われて、今も覚えている言葉これから5年後、10年後にどんな会社にしたいか
図解代表者に聞いておきたい質問。答えの中から、伝えたいことと、それを裏付けるエピソードを選ぶ。

話を聞くときは、録音させてもらうと、後で言い回しをそのまま使えて便利です。まとめるときは、話し言葉の「えー」「まあ」などを省き、同じ話の繰り返しを整理するくらいにとどめ、代表者の言葉づかいはできるだけ残します。きれいに整えすぎると、かえって誰が書いたのかわからない文章になってしまうためです。

文字数の目安

代表あいさつの文字数に決まりはありませんが、600〜1,200字程度が読まれやすい目安です。短すぎると定型文のような印象になり、長すぎると最後まで読まれません。

長く書きたい場合は、見出しを付けて段落を分けたり、「創業の思い」「私たちの約束」などのテーマごとにまとめたりすると、読みやすくなります。スマホで読む人も多いため、1つの段落は3〜4行程度に収めましょう。

写真と署名

代表あいさつには、代表者の写真と署名(役職と氏名)を添えるのが一般的です。顔が見えることで、文章の言葉に重みが出ます。

代表者の写真で確認すること

  • 明るく、表情がわかる写真か
  • 服装が会社の雰囲気に合っているか
  • 背景が散らかっていないか(会社の中や仕事の現場も良い)
  • 縦長・横長のどちらでも使えるか
  • 何年も前の写真になっていないか

写真はプロに撮ってもらうのが理想ですが、明るい場所でスマホで撮った写真でも十分です。仕事をしている様子の写真を使うと、人柄や仕事への姿勢がより伝わります。

避けたい書き方

特に、代表者が交代したのに前の代表者のあいさつが残っている、「創業○周年」の数字が古いまま、といった状態は、ホームページが管理されていない印象を与えます。年に一度は見直しましょう。決算の時期や、会社の周年、新しい事業を始めたときなど、見直す時期をあらかじめ決めておくと忘れにくくなります。見直しの際は、内容だけでなく代表者の写真が古くなっていないかも合わせて確認しましょう。

ホームページのどこに置くか

代表あいさつは、「会社案内」や「会社概要」のグループの中に、独立したページとして置くのが一般的です。会社概要のページの冒頭に短く載せる方法もあります。トップページに一部を抜き出して載せ、全文のページへ案内する形も、代表者の人柄を伝えたい会社ではよく使われます。

ホームページ全体に載せる内容は会社のホームページに載せる内容、文章全般の書き方はホームページの文章の書き方で説明しています。個人事業の場合のプロフィールの書き方は個人事業主のホームページを参照してください。

よくある質問

代表あいさつは、代表者本人が書かないといけませんか?

担当者や外部の人が書いても構いませんが、内容は代表者本人の考えでなければ意味がありません。代表者に話を聞いて文章にまとめ、最後に本人に確認してもらう方法がおすすめです。

「です・ます」と「だ・である」のどちらで書くべきですか?

会社のホームページでは「です・ます」が一般的です。読む人に語りかける文章なので、丁寧で柔らかい印象になります。ホームページの他のページと文体をそろえましょう。

創業したばかりで、書けるエピソードがありません。

創業した理由や、前の仕事で感じた課題、これから実現したいことを書きましょう。実績がなくても、なぜこの事業を始めたのかという思いは、読む人の心に残ります。

経営理念と代表あいさつは何が違いますか?

経営理念は会社として大切にする考えを短い言葉にまとめたもの、代表あいさつはその考えを代表者自身の言葉で、経験とともに語るものです。代表あいさつの中で経営理念に触れると、理念の意味が伝わりやすくなります。

参照した資料

制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、公式の最新の案内を確認してください。

確認日 2026.11.07