この記事の要点
- 制作費は「作業の量(工数)×作業者の単価」でほぼ決まる。相場の幅が広いのは、作業の量が案件ごとに大きく違うから。
- 金額を左右する最大の要素は、デザインをオリジナルで作るか、テンプレートを使うかと、原稿・写真を誰が用意するか。
- 見積もりは総額でなく内訳で比べる。同じ「5ページ」でも、含まれる作業がまったく違うことがある。
- 初期費用とは別に、ドメイン・サーバー・保守の維持費が毎年かかる。5年間の合計で比べると判断を誤りにくい。
なぜホームページ制作の費用相場は幅が広いのか
ホームページ制作の見積もりは、家のリフォームに似ています。「キッチンを直したい」と言っても、扉を替えるだけなのか、配管から作り直すのかで金額が10倍以上変わります。ホームページも同じで、「会社のホームページを作りたい」という依頼の中身は、案件ごとにまるで違います。
制作会社の見積もりは、基本的に次の式で考えられています。
制作費の基本的な考え方
制作費 = 各作業にかかる時間(工数)× 作業者の単価 + 有料素材・ツールなどの実費
工数は「人日(1人が1日働く量)」や「時間」で数えるのが一般的です。
つまり、相場の幅が広いのは「単価がバラバラだから」というより、「作業の量がバラバラだから」です。同じ5ページのホームページでも、テンプレートに文章を流し込むだけなら作業は数日で終わりますが、取材・撮影・原稿作成・オリジナルデザイン・独自の機能開発まで含めれば数十日の作業になります。
金額を左右する6つの要素
1. デザインの作り方(オリジナルかテンプレートか)
もっとも大きく金額が変わるのがここです。オリジナルデザインでは、デザイナーがトップページと下層ページの見た目を一から作り、修正のやり取りを経て確定させます。テンプレート(WordPressでは「テーマ」)を使う場合は、すでに完成しているデザインに、色・ロゴ・写真・文章を当てはめていきます。デザインにかかる工数がほぼなくなるため、費用と期間が大きく下がります。
違いは費用だけではありません。オリジナルは他社と見た目が重ならず、ブランドの世界観を細かく表現できます。テンプレートは、完成形を見てから選べるため「出来上がりが想像と違う」というリスクが小さく、公開までが早いのが利点です。どちらが向くかはテンプレートとオリジナルの費用比較で詳しく比べています。
2. ページ数と、ページの種類
ページ数は工数に直結しますが、「1ページいくら」という単純な計算にはなりません。トップページは情報量が多く、デザインの起点にもなるため、下層ページより工数がかかります。一方、同じ型を繰り返す下層ページ(サービス紹介が5つある、など)は、2ページ目以降の工数が下がります。
見積もりでページ数を数えるときは、同じ型のページがいくつあるかを伝えると、より実態に近い金額になります。
3. 原稿と写真を誰が用意するか
見落とされやすいのがここです。原稿を発注側が用意するなら、制作側は文章を流し込むだけで済みます。制作側が取材して原稿を書く場合は、ライティングの工数が加わります。写真も、手持ちの写真を使うか、素材サイトの写真を買うか、カメラマンが撮影に行くかで費用が変わります。
4. 機能
お問い合わせフォームやお知らせの更新機能は、WordPressであれば標準的な機能の組み合わせで実現できます。一方、予約システム、会員ページ、ネットショップ、多言語対応、既存の社内システムとの連携などは、追加の設計と開発、テストが必要になり、金額が大きく上がる要因です。
5. 進め方(打ち合わせと修正の回数)
打ち合わせの回数、デザインの提案案の数、修正の回数も工数です。見積もりに「修正2回まで」と書かれているのは、この部分が膨らまないようにするためです。社内の確認者が多い会社ほど、修正の往復が増えやすくなります。
6. 公開後の保守と更新
公開後のWordPress本体・プラグインの更新、バックアップ、障害時の対応、ページの更新代行などを依頼する場合は、月額の保守費用がかかります。これは初期費用とは別に毎月・毎年発生するため、比較のときは分けて考える必要があります。
作り方ごとの費用の考え方
依頼先と作り方の組み合わせごとに、費用がどこにかかるかを整理すると次のようになります。表の金額は市場の平均ではなく、それぞれの作り方で「何にお金を払っているか」を示すためのものです。
| 作り方 | 主にお金を払う対象 | 費用を抑えやすい点 | 費用が膨らみやすい点 |
|---|---|---|---|
| 自社で作る(WordPress+テーマ) | テーマ代、サーバー、ドメイン | 制作の人件費が社内で済む | 担当者の作業時間、詰まったときの外注 |
| テンプレートを使った制作サービス | テーマの設定と流し込みの作業 | デザイン工数がほぼない | 原稿作成や写真撮影の追加 |
| フリーランスに依頼 | 個人の作業時間 | 会社の管理費がかからない | 担当者の得意分野外の作業、連絡が取れなくなるリスク |
| 制作会社にオリジナルで依頼 | ディレクション・デザイン・開発・テストの人件費 | 品質と体制が安定 | ページ数・機能・修正の追加 |
| 制作会社に戦略から依頼 | 調査・企画・取材・撮影まで含む人件費 | 成果に向けた設計を任せられる | 総額が大きく、期間も長い |
どの作り方が正解ということはありません。予算が限られ、自社に更新できる人がいるなら、テンプレートを使って自社で作るか、設定だけを任せる方法が合理的です。採用や大きな取引のために、競合と明確に違う印象を作りたいなら、オリジナルデザインに投資する意味があります。
見積書の内訳と、見るべきポイント
見積書には、制作会社ごとに書き方の違いはありますが、おおむね次のような項目が並びます。
| 項目 | 内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| ディレクション費・進行管理費 | 全体の進行、打ち合わせ、品質管理 | 総額の何割か、打ち合わせの回数 |
| 企画・設計費 | サイト構成、ワイヤーフレームの作成 | 構成案を何案出すか |
| デザイン費 | トップ・下層ページのデザイン | テンプレート利用か、修正回数の上限 |
| コーディング・構築費 | HTML・CSS・WordPressの組み立て | スマートフォン対応が含まれるか |
| 原稿作成費・撮影費 | ライティング、取材、写真撮影 | 何ページ分か、撮影の拘束時間 |
| 機能開発費 | フォーム、予約、会員など | 何の機能か、外部サービスの月額 |
| 公開作業費 | ドメイン・サーバー設定、移行 | 旧サイトからの転送設定の有無 |
| 保守費(月額) | 更新、バックアップ、問い合わせ対応 | 作業範囲と、範囲外の料金 |
複数社の見積もりを比べるときは、総額ではなく「同じ項目同士」で比べます。A社には原稿作成が含まれていて、B社には含まれていないなら、B社のほうが安く見えても、原稿を自社で書く手間や外注費が別にかかります。見積書の項目の読み方は見積書の見方でも詳しく説明しています。
ページ数ごとの試算例
ここでは、相場の数字ではなく「自社の条件で試算する方法」を示すために、仮の単価を置いて計算してみます。単価は説明のための仮の値で、実際の単価は依頼先によって異なります。
| 前提 | 値 |
|---|---|
| 作業者の単価(仮) | 1人日あたり 40,000円 |
| トップページのデザイン・構築 | 4人日 |
| 下層ページ(1ページ目) | 2人日 |
| 同じ型の下層ページ(2ページ目以降) | 0.5人日 |
| ディレクション | 全体の工数の20% |
この前提で、トップページと下層ページ4種類(会社概要・サービス・実績・お問い合わせ)を、すべて違う型で作ると、工数は「4+2×4=12人日」、ディレクションを足して約14.4人日、金額は約576,000円になります。同じ条件でテンプレートを使い、デザインの工数を半分以下に抑えられれば、工数は大きく減ります。
試算をしてみると、次のことがわかります。
- 下層ページを「同じ型」でまとめられると、ページ数が増えても費用はゆるやかにしか増えない
- 原稿作成を依頼するかどうかで、数人日分の差が出る
- ディレクション費は工数に比例するので、全体の作業を減らすと一緒に下がる
自社の見積もりを受け取ったら、各項目を「何人日分か」に割り戻してみると、どの作業に重点が置かれているかが見えてきます。
初期費用と維持費は分けて考える
ホームページの費用は、作るときの初期費用と、持ち続けるための維持費に分かれます。維持費は金額こそ小さいものの、毎年かかるため、5年間で見ると初期費用に近い金額になることもあります。
| 項目 | 内容 | 支払いの単位 |
|---|---|---|
| ドメイン | example.co.jp のような住所の使用料 | 1年ごとの更新が一般的 |
| レンタルサーバー | ホームページのデータを置く場所 | 月額(年払いの割引あり) |
| SSL | https 化の証明書。無料のものも多い | サーバーに含まれることが多い |
| 保守 | 更新作業、バックアップ、障害対応 | 月額、または都度払い |
| 有料プラグイン・外部サービス | フォーム、予約、セキュリティなど | 年額・月額 |
ドメインとサーバーの費用はサービスや契約期間によって変わるため、契約前に各社の公式の料金表で更新時の金額まで確かめてください。特にドメインは、初年度だけ安く、2年目以降の更新料が上がる料金体系のものがあります。維持費の全体像はホームページの月額費用にまとめています。
比較するときは、初期費用と維持費を合わせた5年間の総額で見ると、判断を誤りにくくなります。たとえば初期費用が安くても、月額保守が高く、解約すると更新ができない契約は、長く使うほど割高になります。
依頼先によって費用の内訳はどう変わるか
同じ5ページのホームページでも、どこに頼むかで金額の構成が変わります。依頼先ごとの違いは、金額の高い安いよりも「何が含まれていて、何が別料金か」に表れます。
| 依頼先 | 費用が上がりやすいところ | 費用が下がりやすいところ | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 制作会社 | 企画、ディレクション、デザイン、進行管理 | 作業の分担が明確で手戻りが少ない | 担当者の体制と修正回数の上限 |
| フリーランス | 一人で対応できない作業(撮影・原稿)の外注分 | 会社の管理費がかからない | 連絡が取れなくなったときの引き継ぎ |
| ホームページ作成サービス | 月額の利用料(長く使うほど総額が増える) | 初期費用が抑えめ | 解約したときにデータを持ち出せるか |
| テーマを使って自社で作る | 社内の作業時間 | 外注費がほとんどかからない | 担当者が作業に使える時間 |
制作会社は金額が上がりやすい一方で、企画や進行を任せられるため、社内に担当者を置く余裕がない会社には向いています。フリーランスは費用を抑えやすい反面、得意分野がはっきり分かれているので、デザインと構築、原稿作成を誰が担当するのかを最初に確認しましょう。依頼先の選び方はホームページ制作の依頼先の比較で詳しく説明しています。
支払いのタイミングにも違いがある
制作費の支払い方は、契約時に一部を払う「着手金」と、公開時に残りを払う形が一般的です。全額前払いを求められた場合は、途中で依頼先と連絡が取れなくなったときのリスクが大きくなるため、作業の区切りごとに支払う形にできないか相談してみましょう。月額制のサービスは初期費用が少ない代わりに、最低契約期間が決まっていることが多いので、その期間の合計額で比べるのが公平です。
費用を抑えるための6つの工夫
品質を落とさずに費用を抑えるには、「作業の量を減らす」ことが基本です。
費用を抑えるためにできること
- 目的と載せる内容を先に決め、打ち合わせと修正の回数を減らす
- 原稿は自社で下書きする(整えるだけを依頼すれば工数が下がる)
- 写真は手持ちのものを整理し、足りない分だけ撮影や素材購入にする
- デザインはテンプレート(テーマ)を使い、ロゴ・色・写真で自社らしさを出す
- 最初は5ページ前後で公開し、実績や採用ページは後から足す
- 補助金の対象になるか確認する(公募の時期と要件を事前に確認)
最後の補助金については、制作費の一部が対象になる制度がありますが、公募の時期や対象経費、事前申請の要否などの条件があります。詳しくはホームページ制作に使える補助金で説明しています。
安さだけで選ぶと起きやすいこと
費用を抑えることは大切ですが、極端に安い契約には理由があることがあります。よくあるのは次のようなケースです。
安く作った後で困らないための確認点は格安ホームページの引き継ぎにもまとめています。
CRAFTを使う場合の費用
CRAFTは、会社ホームページ向けのWordPressテーマを提供しています。料金はすべて税込で、テーマ1種類あたりの金額です。
| プラン | 料金 | 内容 |
|---|---|---|
| 基本プラン | 10,000円 | テーマ1種類の利用 |
| 初回セットアップ | 19,800円 | テーマの導入と初期設定を任せる場合 |
| ライセンス | 30,000円 | 利用範囲を広げる場合のライセンス |
サーバー、ドメイン、制作の代行は含まれず、別途費用がかかります。自社で原稿と写真を用意し、テーマを使って作る場合は、デザインと構築の工数を大きく減らせるため、試算例のような工数の多くを社内の作業時間に置き換えられます。
よくある質問
ホームページ制作の費用相場は、結局いくらくらいですか?
作り方によって大きく違うため、一つの金額で答えることはできません。自社で作るなら数万円の実費から、制作会社にオリジナルで依頼すれば数十万円以上、取材や撮影、独自機能まで含めればさらに上がります。条件を決めて複数社から見積もりを取るのが確実です。
見積もりが会社によって倍以上違うのはなぜですか?
多くの場合、含まれている作業の範囲が違います。原稿作成、撮影、修正回数、スマートフォン対応、公開後の保守などがどちらに含まれているかを項目ごとに並べると、差の理由が見えてきます。
1ページあたりの単価で比べてもよいですか?
目安にはなりますが、トップページと下層ページ、同じ型を繰り返すページでは工数が違うため、ページ単価だけで比べると判断を誤ることがあります。ページの種類ごとに数えて比べましょう。
制作費は経費になりますか?
事業のためのホームページ制作費は経費として扱えるのが一般的ですが、金額や内容によって一度に経費にするか、数年に分けるかが変わることがあります。詳しくは制作費の勘定科目で説明しています。最終的な判断は税理士や税務署に確認してください。
見積もりは何社くらいから取ればよいですか?
2〜3社が目安です。同じ条件(ページ数、原稿と写真の用意、修正回数、公開後の保守)を伝えて依頼すると、金額と内容を比べやすくなります。条件がばらばらだと、安く見える見積もりが実は作業範囲の狭いものだった、ということが起きやすくなります。
参照した資料
制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、公式の最新の案内を確認してください。
確認日 2026.11.07
