この記事の要点
- ノーコードのサービスは、サーバーや更新の管理をサービス側に任せられ、すぐに始めやすい。その分、サービスの範囲の中で作ることになる。
- WordPressは、サーバーとドメインを自分で用意し、自分で管理する必要があるが、機能の追加や引っ越しの自由度が高い。
- 少ないページで早く公開したいならノーコード、長く育てたい、記事や事例を増やしたい、将来の移転も考えたいならWordPressが向いている。
- 決める前に、月々の費用、独自ドメイン、データの持ち出し、更新する人の4点を確認する。
ノーコードとWordPressの基本的な違い
ノーコードのサービスとWordPressは、どちらもプログラムを書かずにホームページを作れるという点では似ています。大きく違うのは、ホームページがどこに置かれ、誰が管理するのかという点です。
ノーコードのサービスは、いわば「家具付きの賃貸住宅」のようなものです。入居してすぐに暮らせて、建物の管理は大家さん(サービス)がしてくれますが、間取りを大きく変えたり、ほかの建物へ部屋ごと持っていったりすることはできません。
WordPressは、「土地を借りて家を建てる」のに近いものです。土地(サーバー)と住所(ドメイン)を自分で用意し、建物(WordPress)の手入れも自分で行う必要がありますが、増築や改装の自由度が高く、別の土地へ引っ越すこともできます。テーマを使えば、建物の設計を一から考える必要はありません。WordPressの仕組みはWordPressとはで説明しています。
7つの観点で比べる
会社のホームページを作るという目的で、ノーコードのサービスとWordPressを、7つの観点で比べます。
| 観点 | ノーコードのサービス | WordPress |
|---|---|---|
| 始めやすさ | アカウントを作ればすぐ始められる | サーバー、ドメイン、インストールが必要 |
| 費用の考え方 | サービスの月額や年額が中心 | サーバーとドメインの費用、テーマやプラグインの費用 |
| デザインの自由度 | サービスの用意した範囲の中で自由 | テーマ次第。追加のCSSや子テーマで細かく変えられる |
| 機能の追加 | サービスが用意した機能から選ぶ | 多くのプラグインから選べる |
| 更新と安全の管理 | サービスに任せられる | 本体、テーマ、プラグインの更新を自分で行う |
| 引っ越し | 別のサービスへの移行は難しいことが多い | ほかのサーバーへ移せる |
| 記事の量産 | ブログ機能の充実度はサービスによる | 投稿、カテゴリ、タグなどの仕組みが標準で整っている |
始めやすさ
始めやすさでは、ノーコードのサービスに分があります。アカウントを作り、ひな形を選び、文章と写真を差し替えれば、その日のうちにホームページを公開することもできます。サーバーの契約やWordPressのインストール、SSLの設定などを考える必要がありません。
WordPressは、サーバーとドメインを契約し、WordPressをインストールし、テーマを入れるところまでの準備が必要です。多くのレンタルサーバーには、WordPressを簡単にインストールできる機能があるため、以前に比べると準備の手間はかなり少なくなりましたが、ノーコードのサービスと比べると、最初の一歩は重くなります。始め方の流れはWordPressの始め方で説明しています。
費用の考え方
費用は、金額そのものよりも「何に払うのか」の考え方が違います。ノーコードのサービスは、サービスの利用料を払い続ける形が中心で、独自ドメインを使う、広告を消す、ページ数を増やすなどの条件によって、料金のプランが分かれていることが多くなっています。
WordPress自体は無料で使えますが、サーバーとドメインの費用がかかります。さらに、有料のテーマやプラグインを使う場合は、その費用も必要です。テーマには、一度買えばずっと使える「買い切り」のものと、年ごとに払う「年額」のものがあります。
どちらが安いかは、選ぶサービスやプラン、サーバー、テーマによって変わるため、一概には言えません。比べるときは、月々の費用だけでなく、5年使ったときの合計で比べるのがおすすめです。テーマの買い切りと年額の比べ方はテーマの買い切りとサブスクの比較、ホームページの年間の費用はホームページの維持費で説明しています。
デザインの自由度
ノーコードのサービスの中には、デザインの自由度が高く、見た目を細かく作り込めるものもあります。ただし、自由度は「サービスが用意した操作の範囲の中で」の自由です。サービスにない動きや表示をしたい場合は、実現できないことがあります。
WordPressは、テーマによってデザインの土台が決まります。テーマの設定やブロックエディターで多くのことができるほか、追加のCSSや子テーマを使えば、細かな見た目も変えられます。ただし、大きく作り変えるには、HTMLやCSSの知識が必要になります。
機能の追加
お問い合わせフォーム、予約、ネットショップ、会員の機能、多言語、SEOの設定など、ホームページに機能を追加したい場合、ノーコードのサービスでは、サービスが用意した機能や、連携している外部のサービスから選びます。
WordPressでは、プラグインと呼ばれる追加の機能を入れることで、多くのことができます。WordPress.orgの公式ディレクトリには、数多くのプラグインが公開されています。選択肢が多い分、どれを選べばよいか迷うこと、プラグイン同士の相性の問題が起きることもあります。プラグインの選び方はプラグインの選び方を参照してください。
更新と安全の管理
ノーコードのサービスの大きな利点は、サーバーの管理やソフトの更新、安全のための対策を、サービス側に任せられることです。利用者は、ホームページの中身を作ることに集中できます。
WordPressでは、WordPress本体、テーマ、プラグインの更新を、自分で行う必要があります。更新を長く放っておくと、古いプログラムの弱点を狙われる危険が高まります。自動更新の機能や、サーバー会社の安全対策の機能を使えば手間は減らせますが、誰かが定期的に管理画面を確認する必要があることは変わりません。安全対策の全体はセキュリティで説明しています。
引っ越し
見落とされがちですが、長く使ううえで大切なのが「引っ越しのしやすさ」です。ノーコードのサービスで作ったホームページは、そのサービスの仕組みの上で動いているため、ほかのサービスやサーバーへそのまま持っていくことは難しいことが多くなっています。サービスの料金が上がった、サービスが終了した、といった場合には、ホームページを作り直すことになります。
WordPressは、データベースとファイルを移せば、ほかのサーバーへ引っ越せます。移行用のプラグインを使う方法もあります。制作会社やサーバー会社を変えても、ホームページの中身はそのまま使い続けられます。
記事の量産
お知らせ、施工事例、ブログ記事などを増やして、検索から人を集めたい場合は、記事を管理する仕組みが大切になります。WordPressは、もともとブログの仕組みとして生まれたため、投稿、カテゴリ、タグ、記事の一覧、予約投稿などの機能が標準で整っています。ノーコードのサービスにもブログの機能はありますが、どこまでできるかはサービスによって違います。
SEOの面での違い
SEOの面では、「どちらが有利」と言い切れるほどの差はありません。Googleは、使っている仕組みではなく、ページの中身や使いやすさで評価すると説明しています。
ただし、SEOに関係する設定ができるかどうかには違いがあります。タイトルや説明文の設定、XMLサイトマップ、ページのアドレス(URL)の決め方、リダイレクトの設定、構造化データなどを、どこまで自分で設定できるかは、ノーコードのサービスによって異なります。WordPressは、標準の機能とSEO用のプラグインで、こうした設定をひととおり行えます。SEOの基本はホームページのSEO対策を自分でやる方法で説明しています。
目的別の選び方
どちらが良いかは、ホームページで何をしたいのか、誰が管理するのかによって変わります。
ノーコードが向いている場合
- 数ページの名刺代わりのホームページを、とにかく早く公開したい
- 社内にホームページの管理をできる人がいない
- サーバーや更新の管理に、時間を割きたくない
- 期間限定のキャンペーンやイベントのページを作りたい
WordPressが向いている場合
- お知らせ、施工事例、ブログ記事などを増やして、長く育てていきたい
- 将来、制作会社やサーバーを変える可能性がある
- 予約、多言語、会員などの機能を、後から追加したい
- 自社でデータを持ち、ホームページの資産を手元に置いておきたい
迷ったときの考え方
迷ったときは、「5年後にこのホームページがどうなっていてほしいか」を考えてみてください。5年後も数ページのままでよいならノーコード、記事や事例が数十、数百と増えている姿を描くならWordPressの方が向いています。また、WordPressを選んでも管理に不安がある場合は、更新や保守を外部に頼む方法もあります。
選び方でよくある失敗
作り方を選ぶときに、よくある失敗を紹介します。同じことを避けるための参考にしてください。
最初の費用だけで選んでしまう:始めるときの費用が安くても、使い続けるうちに、独自ドメインを使うための上位のプランや、追加の機能の料金がかかり、結果として高くなることがあります。逆に、WordPressで高いテーマを買ったものの、更新する人がいなくて数年放置してしまう、ということもあります。費用は、使う期間全体で考えましょう。
作る人と更新する人が違うことを忘れる:制作会社や詳しい知人に作ってもらう場合、作る人にとって使いやすい仕組みと、その後に更新する社内の人にとって使いやすい仕組みが、同じとは限りません。日々の更新を誰がするのかを先に決めて、その人が無理なく使える方を選びましょう。
将来のことを考えずに選ぶ:最初は数ページで十分だと思っていても、事業が広がると、採用ページや事例のページ、ブログを増やしたくなることがよくあります。そのときに、今の仕組みで対応できるかを、最初に少しだけ考えておくと、作り直しの手間を減らせます。
決める前に確認すること
作り方を決める前に確認すること
- 5年使った場合の費用の合計(サービスの料金、サーバー、ドメイン、テーマ)
- 独自ドメインが使えるか、その条件
- サービスをやめるとき、文章や画像を持ち出せるか
- お問い合わせフォームのメールが確実に届くか
- 社内の誰が更新し、誰が管理するのか
- 必要な機能(予約、多言語、ネットショップなど)があるか
特に大切なのが、独自ドメインとデータの持ち出しです。サービスが用意したアドレスのまま公開すると、後で別のサービスやWordPressに移ったときに、アドレスが変わってしまいます。最初から自社のドメインを使っておけば、作り方を変えても、同じアドレスでホームページを続けられます。ドメインの考え方はドメインとはで説明しています。
無料のホームページ作成サービスを使う場合の注意点は無料ホームページ作成サービスの注意点、HTMLで直接作る方法との比較はHTMLとWordPressの比較で説明しています。
WordPressをテーマで始めるという選択肢
WordPressの「最初の一歩が重い」という弱点は、テーマを使うことでかなり軽くできます。会社のホームページ向けに作られたテーマには、トップページ、会社概要、事業内容、お問い合わせなど、必要なページのひな形があらかじめ用意されているものがあります。ひな形の文章と写真を自社のものに差し替えていけば、ノーコードのサービスに近い感覚で、ホームページを形にできます。
そのうえで、記事や事例を増やしたくなったとき、機能を追加したくなったとき、サーバーを変えたくなったときにも、WordPressなら同じホームページを育て続けられます。自分で作る手順はホームページを自分で作る方法で説明しています。
よくある質問
ノーコードで作ったホームページを、後からWordPressに移せますか?
文章や画像は移せますが、ページの作りやデザインは、多くの場合WordPressで作り直すことになります。独自ドメインを使っていれば、アドレスは変えずに移行できます。将来の移行を考えている場合は、最初から独自ドメインで公開しておきましょう。移行の前に、今あるページの一覧と、よく見られているページを確認しておくと、作り直すときの抜け漏れを防げます。
WordPressは難しいと聞きますが、初心者でも使えますか?
文章の更新や記事の投稿は、ワープロに近い感覚でできます。難しいのは、最初の準備(サーバー、ドメイン、インストール)と、デザインを細かく変えるときです。最初の準備はレンタルサーバーの簡単インストールの機能を使い、デザインはテーマを使えば、初心者でも始められます。
ノーコードのサービスはSEOに弱いのですか?
仕組みそのものが不利というわけではありません。ただし、タイトルや説明文、ページのアドレス、リダイレクトなど、SEOに関係する設定がどこまでできるかはサービスによって違います。検索からの集客を重視する場合は、こうした設定ができるかを確認しましょう。
会社のホームページで、どちらが多く使われていますか?
W3Techsの調査では、WordPressは世界のウェブサイト全体の約4割で使われています。ただし、多く使われていることと、自社に合っていることは別です。目的と管理の体制に合わせて選びましょう。
費用はどちらが安いですか?
選ぶサービスやプラン、サーバー、テーマによって変わるため、一概には言えません。月々の費用だけでなく、5年使った場合の合計と、将来引っ越すときにかかる費用も含めて比べることをおすすめします。
参照した資料
制度や料金は変わることがあります。手続きの前に、公式の最新の案内を確認してください。
確認日 2026.11.07
